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April 09, 2003 20:49:20


0.2%差と「利己的DNAプログラム」


0.2%差と「利己的DNAプログラム」 
              投稿者:ケンちゃん(作者)  投稿日: 2002年3月 5日(火)12時57分02秒

http://www.natureasia.com/japan/sciencenews/bionews/article.php?ID=1263

ジャンクDNAの重大な役割
遺伝学
2004年05月20日
ヒトと魚のゲノムに同じようなものがあるのはなぜ?

もうヒトゲノムの重要な部分は調べ尽くされていると思っているのなら、考え直した方がいい。ほぼ全ての哺乳動物の生存にとって極めて重要と考えられる謎のDNA断片の一群があって、研究者が今も頭を悩ませているからだ。おまけに、その機能は全くわかっていない。

このDNA断片は「超保存エレメント(ultraconserved elements)」と呼ばれ、ゲノムの大きな部分を占めており、タンパク質はコードされていない。この領域は「ジャンクDNA」と呼ばれて軽視されることが多いが、これまで考えられてきた以上に根本的な重要性を帯びている可能性を示す証拠が蓄積されてきている。そして、この領域が存在すること自体が、これらの証拠を補強している。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校(米国)のDavid Hausslerをリーダーとする研究チームは、ヒト、マウスとラットのゲノム配列のスキャニングを行った1。その結果、これら3種において全く同一の「超保存」領域が発見され、その数は480を超えていた。これは意外なほど高い類似性といえる。例えばマウスゲノムとヒトゲノムの遺伝子部分を比較した場合、塩基配列の類似度は平均で約85%にすぎないからだ。「これには本当にびっくりしました」とHausslerは語る。

これらの超保存領域のほとんどは、ニワトリ、イヌ、魚類のゲノム配列上にも対応する領域が見つかった。これに対して、ホヤやショウジョウバエのゲノム配列上には見られなかった。この超保存領域が、魚類とヒトの共通祖先以降4億年の進化を経ても極めてわずかしか変化しなかったという事実からは、この領域が魚類とヒトの子孫にとって極めて重要だったことが示唆される。ところが超保存領域の塩基配列の実際の機能について研究者は考え込んでしまっている。

「超保存エレメントによって必須遺伝子の発現が調節されている」というのが最も可能性の高い筋書きだ。超保存エレメントのほぼ4分の1が遺伝子と重なり合っており、これによってRNA(タンパク質をコードする中間分子)が合成される可能性がある。RNAを切断し、継ぎ合わせて、別の形態に変える際に超保存エレメントが役立っているという考え方をHausslerは示している。

胚の成長を調節する役割をもった超保存エレメントもあるかもしれない。魚類からヒトに至るさまざまな動物における胚の成長過程は、実によく似ている。例えば、既に特定されている超保存エレメントの1つは、脳と四肢の成長に関与する遺伝子を制御することが知られている。

この難問を解くため、謎のDNA断片に関する研究が相次いで進められるようになる、と専門家は予測する。「今回[の発見]は関心を集めると思われます。この種の知見が人々をびっくりさせるのです。」こう語るのは、Perlegen Sciences社(米国カリフォルニア州マウンテンビュー)でゲノミクスを研究するKelly Frazerだ。

信じ難い結果

もう何年もの間、遺伝学の研究者は、頻繁に研究対象とされている遺伝子以外にも非常に重要なDNA断片があることを知っていた。タンパク質をコードする遺伝子配列以外にもマウスゲノムとヒトゲノムのかなりの部分に強い類似性が見られるのだ。

しかし「超保存」DNA断片が特に変わっているのは、ヒトゲノムとマウスゲノムで全く同じだからだ。これまでは、マウスのサンプルに汚染されたヒトDNAサンプルを解析したためにこのような結果になると考えられていた。「この結果を信じるのが一苦労だったのだ」とFrazerは言う。

異なる動物の間で全く同じDNA断片が見つかるということは、このDNA断片の配列にわずかな変化が生じただけで、その本来の作用が損なわれてしまうため、変化した部分は進化の過程で取り除かれてきたことを示唆している。これに対して、必須領域以外のDNA領域では、突然変異がそのまま蓄積される傾向があり、その結果、塩基配列は生物種ごとに異なっている。

この謎のDNA断片の機能を解明することには困難が予想される。超保存領域相互の類似点は少ないため、機能を解明する上で類似点を手がかりとすることができないからだ。このようなDNA断片のうちの特定の1つを失ったマウスを遺伝子操作で作り出して、マウスの成長や行動に生じる影響を調べるというのが1つの研究方法だが、骨の折れる作業になるだろう。

ブロード研究所(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)で遺伝学を研究するKerstin Lindblad-Tohは、次のように語っている。「超保存エレメントの機能が解明されたとしても、さらに異なる生物種間で類似性が認められる大量のゲノム領域の解析に取り組む必要があります。今回の発見は氷山の一角なのです。」

Helen Pearson

参考文献 1. Bejerano, G. et al. Science, published online, doi:10.1126/science.1098119, (2004).





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